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いわゆるプログラマーのつぶやき

大麦粉・ライ麦粉・米粉・オートミールそれぞれ100%のパンを焼く

グルテンフリーのパンを焼く事情が発生し、大麦粉、ライ麦粉、米粉オートミール粉それぞれ100%のパンを焼いてみた。結果としてはいずれもコツを掴めば、美味しいパンが焼けることが分かったのでここでまとめる。

なお大麦、ライ麦オートミールには食物繊維やビタミンなど優れた効用があり、焼いたパンは優れた健康食品になる。

ただし粉が違うと作り方や焼き方がかなり異なってくる。いずれの粉も小麦粉と違ってグルテンを含まないためコネは不要。米粉はトロトロな生地をよく泡立てる、大麦粉やライ麦粉はどっしりした生地で1回発酵、オートミールは緩い生地を混ぜ過ぎず1回発酵など、各粉毎のポイントを守らないと失敗する。

なおオートミール粉以外の材料を使う場合はきび糖、塩、油、イースト、水の基本的な材料しか使用しない。オートミール粉のみ玉子などを加えないとパンにならない(後述)。

米粉100%のパン

米粉100%のパン

おそらく最初に挑むのが米粉で作るパンであろう。実際、小麦粉で作るパンに近いレベルのクォリティが簡単に実現できる。

材料(1.5斤分)

  • 米粉:ミズホチカラ限定:250g
  • きび糖:20g程度
  • 塩:5g
  • ドライイースト:赤サフ5g程度(+予備発酵用きび糖3g + ぬるま湯40g)
  • 米油:20g
  • ぬるま湯:200g程度から始めて徐々に足す
  • 夏は通常水で良い

手順

  • ドライイーストに砂糖3g、40度程度のぬるま湯を40g注ぎ、撹拌して5分ほど予備発酵させる(35度程度)
  • この予備発酵をせずにそのままイーストを粉に混ぜても良いが、発酵力が違ってくるしイーストの匂いも抜けるのでオススメ
  • またイーストを直接混ぜる場合は7gまで増やした方が良い
  • 米粉、きび糖、塩、予備発行したイースト、米油、ぬるま湯を入れて混ぜる
  • トロトロするレベルまで水を加えて調整する。泡立て器から生地がトロトロ落ちるぐらい。
  • 電動の泡立て器で5分、高速でしっかり撹拌する
  • 一次発酵。35〜40度で15〜20分。表面に気泡が浮かんでいるのを確認したら、気泡を潰すぐらい一旦よく混ぜる。ここで気泡が消えても再び力強く発酵するので問題ない。
  • 食パンの金型にクッキングシートを敷いた中に注ぐ。クッキングシートを使わないと横の隙間から材料が漏れてくるし焼き付きやすい
  • 35〜40度で30〜50分ぐらい発酵させて生地が元の3倍の高さになったら発酵終了
  • 予熱したオーブンで180度25分、210度に上げて10分、蓋を開けて10分程度。焼き色を見て判断
  • 焼き上がったら取り出して5分程度したら、サランラップでピッタリと包む。3時間程度そのままにすることでパンの表面に蒸気が含まれて皮がしっとりとした仕上げになる
  • カットしてそのまま食べたら最高にうまい。
  • カットしたものを1枚ずつラップに包んで冷凍保存する。食べる時はレンジで温めてからオーブントースターで焼くと美味い。

コツ

  • 米粉はミズホチカラを必ず使うこと
  • イーストは予備発酵して使う
  • 生地はトロトロでOK
  • 泡立て器で十分に撹拌すること
  • しっかり発酵させること

理由は不明だが、ミズホチカラを使わないとパンの膨らみが悪くなる。改めて普通の米粉を使って成功させたいと考えるが、まずは無難にミズホチカラを使うのが良いだろう。

あと、小麦粉を練った時に出る粘り=グルテンが含まれないため発酵で発生する気泡を維持する力が弱い。そのため泡立て器を使って生地に十分な空気を含ませる必要がある(5分程度)。

また発酵は発酵前の状態から3倍程度の高さまで発酵させたい。米粉のパンはグルテンが無いため焼く際に膨張する水蒸気を留めることが出来ず、焼いてもあまり膨らまないので、発酵時にパンを十分に膨らませる。発酵温度はオーブンの機種によって結構バラつくのでまずは35度(夏は30度、冬は40度)で発酵度合いを確認した方がよく(発酵が早ければ時間を切り上げる)、過発酵に気を付けて試してみられたい。

  • 長所
    • グルテンフリーなのにふわふわモチモチ
    • まるで小麦粉の様な食感と香りを楽しめる
  • 短所
    • 冷えて時間が経過すると米のため食感が悪くなるため温め直した方が良い

大麦粉100%のパン

大麦粉100%のパン

大麦粉だけではパンは難しいとされるが、コツを掴めば簡単。ふんわりもっちりの美味しいパンが焼ける。大麦の力で、生活習慣病予防にも有効とされているパンなので、ぜひ挑戦してみて欲しい。

大麦の効用

大麦には整腸効果、ダイエット、体質改善の三つの大きな効果がある。便秘解消や生活習慣病対策に役立つ不溶性と水溶性の2種類の食物繊維が大麦にはバランスよく含まれており(白米の17倍の食物繊維量)、主役は水溶性食物繊維「β-グルカン」。食後血糖値の上昇抑制やコレステロール値の低下、排便促進など、世界各国で機能性の表示が認められている。

大麦の効果一覧

  • 健康な腸機能の維持と排便促進
  • 食後血糖値の上昇抑制
  • 血中コレステロール値低下
  • 心疾患のリスク低減

整腸作用: 様々な整腸作用が認められている。まず大麦に含まれる不溶性食物繊維が便の体積を増やし腸のぜん動運動を活発にする。またβ-グルカンなどの水溶性食物繊維が腸内細菌のエサとなることで腸内環境を改善する。大麦摂取で排便量が増え、便秘も改善する効果は実証済み。

ダイエット: 肥満防止と血糖値上昇抑制には食後の血糖値を急上昇させないことがポイント。大麦に含まれるβ-グルカンがゼリー状になって食物を包んで腸内を移動させることで消化吸収に時間がかかり血糖値の急上昇を防ぐことができる。結果として胃腸の中でじっくりと消化されるので満腹感が持続し摂取量が抑えられてダイエットに繋がる。大麦は「食べるダイエット」と称されている。

体質改善: 血糖値上昇抑制効果による糖尿病予防、β-グルカンの腸内で脂肪の吸収を抑える効果による脂質異常症動脈硬化の予防など。小腸内でコレステロールや、コレステロールを原料に作られる胆汁酸とβ-グルカンが結びつき、その吸収を妨げて体の外に排泄させる。つまり動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールLDLの排出をサポートして血中のコレステロールを低減する。

その他、がん・認知症・肥満・糖尿病・人工透析など各種生活習慣病の予防効果も謳われている。

(図の元記事は以下)

大麦、玄米…全粒穀物で死亡リスク減 エビデンス続々 - 日本経済新聞

材料(1.5斤分)

  • 大麦粉:250g
  • きび糖:20 - 30g程度
  • 塩:5g
  • ドライイースト:赤サフ5g程度(+予備発酵用きび糖3g + ぬるま湯40g)
  • オリーブオイル(米油でも良い):20g
  • ぬるま湯:250g程度

手順

  • ドライイーストに砂糖3g、40度程度のぬるま湯を40g注ぎ、撹拌して5分ほど予備発酵させる(35度程度)
  • この予備発酵をせずにそのままイーストを粉に混ぜても良いが、発酵力が違ってくるしイーストの匂いも抜けるのでオススメ
  • またイーストを直接混ぜる場合は7gまで増やした方が良い
  • 大麦粉、きび糖、塩、予備発行したイースト、米油、ぬるま湯を入れて混ぜる
  • どっしり重いがカスタードクリームの程度まで柔らかい、容器を傾けるとゆっくり材料が落ちてくる程度に水を混ぜて調整する。これがふわふわもっちりのポイントなので要注意
  • 電動の泡立て器で5分、高速でしっかり撹拌する。撹拌したものを容器ごと傾けるとゆっくり落ちてきたらOK。硬すぎても柔らかすぎても膨らみが悪くなる
  • 食パンの金型にクッキングシートを敷いた中に注ぐ
  • 発酵。30分〜最大60分。生地が2倍ぐらいの高さになったら発酵終了
  • 予熱したオーブンで180度20分、蓋を開けて210度で15分。底面や側面に綺麗な焼きが入るがトップはやや色が悪いため、ディスプレイ時はひっくり返すのがオススメ。
  • 焼き上がり5分程度したら、ビニール袋に入れて空間が無い様に包む。すぐ食べても美味しいし、しばらく時間を置いても美味い。
  • カットしたものを1枚ずつラップに包んで冷凍保存する。食べる時はレンジで温めてからオーブントースターで焼くと美味い。

コツ

  • 生地の柔らかさの見極めがポイント(最適でないとうまく膨らまない)
  • イーストを予備発酵して使う
  • しっかり発酵させること

大麦にも小麦粉を練った時に出る粘り=グルテンが含まれないため発酵で発生する気泡を維持する力が弱い。そのため泡立て器を使って生地に十分な空気を含ませる必要がある(5分程度)。

また発酵は発酵前の状態から2倍程度の高さまで発酵させたい。大麦粉のパンもグルテンが無いため焼く際に膨張する水蒸気を留めることが出来ず、焼いてもあまり膨らまない。やや発酵しにくい素材なのでまずは40度で発酵度合いを確認した方がよく(発酵が早ければ時間を切り上げる)、常に過発酵気味になる場合は35度や30度で試してみられたい。

ライ麦粉100%のパン

通常ライ麦パンはサワー種で時間をかけて乳酸菌発酵させて作るので、どっしり&酸っぱいパンになる。それに対して前記の大麦パンの要領でイーストで手早く作るとライ麦100%なのにふんわりもっちりの美味しいパンが焼ける。ただしいわゆるライ麦パン独特のどっしり&酸味の効いた味わいではないので注意。

写真のパンではライ麦の全粒粉かつ粗挽き粉を用いたが、その辺りは同じライ麦であれば特に変わらないと思う。作り方は大麦粉と全く同じでよい。粉の特性の違いで泡立て器による撹拌時はモロモロになりがちだが問題ない。

ライ麦の効能

様々な研究成果でライ麦摂取が健康寿命に貢献する可能性が示されている。ライ麦パンは栄養価が高く、健康にも良い効果をもたらすため、積極的に摂取することが推奨されている。ライ麦パンにはビタミンやミネラルも多く含まれており、特にビタミンB1とB2が豊富で、小麦パンよりも鉄分が約30%、カリウムが約2倍含まれている。ビタミンB群とは、ビタミンB1ビタミンB2ナイアシンパントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12葉酸、ビオチンの8種類を指し、ビタミンB群は水溶性で炭水化物やたんぱく質代謝をサポートする効果や、皮膚や粘膜を強く保つ効能もある。

また食物繊維が小麦粉の5倍、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれており、腸内環境改善効果が得られる。大麦同様に水溶性食物繊維は水に溶けるとゲル状になり、便を柔らかくして便秘の予防・改善に効果を発揮する。不溶性食物繊維は水に溶けず、便のかさを増やして腸のぜん動運動を促し消化吸収や便通を改善する。満腹感を早く感じるのでダイエット効果も期待できる。またライ麦には新陳代謝を促進させる効果や低GIで血糖値の急上昇を抑え糖尿病の予防にも役立つ。

加えてライ麦の皮に含まれるアルキルレゾルシノールが、長寿遺伝子とされるサーチュイン遺伝子を活性化させる事が判明している。サーチュイン遺伝子が活性化すると老化の抑制や糖尿病や炎症などに対する抑制効果が高まるとされている。

コツ

  • 大麦粉と同じ分量、制作
  • 砂糖は10g程度まで減らした方がよい

  • 長所

    • グルテンフリーでふわふわモチモチ
    • ライ麦の香りが楽しめる
    • 短時間で作れる
    • 酸味が少ない(人によっては短所)
  • 短所
    • 本来のライ麦パンの酸味や旨みは少ない

オートミール100%のパン

正直言ってオートミールの発酵パンが一番難しい。純粋な材料だけでは気泡が消失してうまく焼けない,これはオートミールの特性で生地の粘性が高く、しかしながら生地に含まれる空気の保持が出来ない腰の弱さによるもので、焼いている内に発酵で膨らんだ生地がペシャンコに潰れてしまう。

よってまず、玉子やサイリウムなど焼き上げ時に気泡を保持させるための副材料を使う必要がある。

次に混ぜすぎ厳禁。小麦粉や米粉、大麦粉の要領で生地をよく混ぜるとオートミール粉の特性で生地の粘度が一気に高まり、餅の様な強い粘りが出るため生地は手早く混ぜる必要がある。

また素材の焼き縮みが激しい。焼いている状態を観測すると初めはゆっくり膨張するが、しばらくすると元の発酵完了時に近い高さまで萎んでしまう(副材料を使っても)。そのため、食パン型など高さのある型でパンを焼こうとすると真ん中が凹んだ不細工な仕上がりになる。

最後に過発酵にシビア。発酵終了時は1.5倍程度の高さで焼く直前に2倍の高さが理想的。下の写真は副材料無しで何度かトライしたものの一つだが、真ん中が陥没していることがわかる。

またその断面を見ると気泡が消失している。

よってオートミールパンのポイントは、①玉子などの副材料を加え、②生地を手早く混ぜ、③発酵状態を見極めて、④低めの型を使って焼く必要がある。

オートミールの効用

オートミールの水溶性食物繊維の大部分は大麦と同じβグルカンである。βグルカンは血中コレステロール値上昇抑制作用、血糖値上昇抑制作用、血圧低下作用、排便促進作用、免疫機能調節作用など欧米を中心に多数報告されている。コレステロール低減特性が健康食品として特筆されている。オートミールは小麦比較でたんぱく質や脂質が多く含まれ、全粒穀物なのでさらに多くの食物繊維やミネラルを含む。結果としてデンプンの割合が下がるのでエネルギー量は低く健康的とされる理由でもある。