iPadでバレットジャーナルに適したアプリを見極める
5年間バレットジャーナルを継続してきたが、この度iPadを用いるデジタル化に成功した。移行に際して各種アプリを調べた結果、私はOneNoteを選んだが各自の利用状況で異なってくると思う。以下どんな観点でバレットジャーナルにOneNoteを選んだのかを記録する。
機能比較:
ノートアプリはいずれも高性能で使いやすいが、その中でも自分なりに重要視する点を中心に比較を行った。
1.手書きの書き味とペンの種類:
感覚的なものなので、手書き入力の書き味に関しては重要かつ感じ方の個人差も大きい。あくまで私の感覚で優れている順にまとめた。
GoodNote6,NoteShelf3,CollaNote,FreeNotesの4つはいずれも「手書きノートアプリ」を称するだけあってペン先の幅調整もきめ細かく行える。
- FreeNotes:最高に書きやすい。縦書きで連綿などもスラスラ書ける。万年筆、ボールペン、鉛筆、マーカが揃っており特に万年筆と鉛筆が素晴らしい。
- CollaNote:これも書きやすいが私はFreeNotesの方が好み。ペンの数は20種類ある。
- GoodNotes6:書き味に関しては標準。ペンは万年筆、ボールペン、筆ペン。
- NoteShelf3:標準。ペンは万年筆、ボールペン、鉛筆、マーカが揃っている。鉛筆の起点が目立つのが難。
- メモ:標準。ペンは万年筆、ボールペン、マーカ。太さは5段階のみ。
- OneNote:標準。ペンはボールペンとマーカのみ、太さも6段階のみ。
2.日本語手書き検索:
私はあまり重要視していないが、人によっては手書きの検索が必須の方もいる。試した所、Appleメモがダントツに優れ、GoodNotes6も優秀だ。
- Appleメモ:抜群の手書き認識。略した記載でも認識する
- GoodNote6:高性能。
- NoteShelf3, CollaNote:メモやGoodNotes6に比較すると劣る
- FreeNotes,OneNote:全くダメ(OneNoteは英語はOKの様だ)
3.エリアの拡張性:
手書き対応のノートアプリは、いわゆるテンプレートという書式の上に書き込む関係で記載できるエリアが紙のノートの様に固定(下方向にページ追加は可能)の「固定型」と、自由自在にエリアを拡張出来る「自由形」がある。
固定型:
- 長所:お好みや可愛いテンプレートを使ってノートをまとめやすい。ノートをそのままPDF化出来る。
- 短所:横方向へのエリア拡張が出来ない。縦方向もページ追加での対応になる
自由形:
- 長所:自由自在に手書きやテキストエリアを拡張できる。巨大なホワイトボードの様なものでページの概念がない(広大なホワイトボード1枚を1ページとして扱う)
- 短所:ノートのPDF化に工夫が必要(1枚から複数枚分割)
どちらが優れているかは、ノートの利用方法次第で異なってくるので判断しづらいが、私の場合、紙時代のエリア制約を受けない自由形が好みだ。
- OneNote:自由。360度に広がる。
- FreeNotes:左右に注釈エリアを追加可能、縦方向はページ追加
- Appleメモ:横幅固定、下方向は自由
- GoodNote6,NoteShelf3,CollaNote:横幅固定、縦方向はページ追加
4.紙面のダークモード切替:
白色の紙面であっても、簡単にダークモードに切り替えられる機能。長時間作業にはダークモードが適しているが、かと言って黒色用紙で作成したノートはPDF化しても黒ベースなので流用しづらい。そのため見た目だけをダークに切り替える機能が重宝する。
- OneNote,FreeNotes,メモ,CollaNote:対応
- GoodNotes6,NoteShelf3:非対応(黒色の用紙を使う必要あり)
5.手書きとテキストのオーバーラップ:
手書きノートアプリは紙面内に手書きとテキストを自由に配置できるが、Appleメモのみ混在不可(別エリアに配置される)
6.紙面の拡大縮小
手書きノートアプリはエリアは紙面を自由に拡大縮小できるが、Appleメモのみ固定で拡大縮小は出来ない
バレットジャーナルにお勧めの手書きノートアプリ:
以上の調査を基に利用別の推奨アプリを記載する。
固定エリア+手書き日本語検索必要な方:
お好みのテンプレートを使ってノートを書きたいし、手書きの日本語検索も必要な方は、人気が高く多数のテンプレートを展開するGoodNotes6が適している。アプリはサブスク(1,350円/年)、テンプレートも基本有料だ。
固定エリア+手書き日本語検索不要な方:
同様にテンプレートを用いたノート運用を行うが、手書きの日本語検索が不要なら、書き味抜群のFreeNotesがお勧めだ。アプリもテンプレートも無料で使える。
自由エリア+手書き日本語検索不要な方
テンプレート不要で自由にエリアを使ってノートを書きたい方はOneNoteがオススメだ。Microsoftの力でいずれ手書きの日本語検索も実現すると思う。無料。
各アプリのお気に入りポイント
調査のために有料のものは全て購読して確認したが、改めてアプリはそれぞれの良さがある事を実感している。
OneNote:
色々素晴らしい。そして私が必要とする以下のデジタル化の選定条件をOneNoteはすべて満たしている。
- WindowsタブレットPC, Mac+デジタイザー, iPad, iPhone全てで使用できる。
- クラウドでノートの同期が行える。
- テキスト入力と手書き入力がいずれも快適に行える。
- 紙面の自由度が高い。
- 手帳構築の手間を最小限にできる。
- コストを最小に抑えられる(無料)
FreeNotes:
これも素晴らしい。手書きノートアプリとしては一番のお気に入り。下の記事も読んでほしい。
programmingforever.hatenablog.com
CollaNote:
お絵かきアプリに近い手書き機能の充実。
GoodNotes6:
現在一番人気のアプリ。ファイル管理が充実しておりタブでノートを切り替えられるので、バレットジャーナルのデイリーログ、マンスリーログ、フューチャーログの切替も簡単。
NoteShelf3:
バランスが取れている。EverNoteとの連携、音声メモの扱いなど。
Appleメモ:
あくまで「手書きも出来る」というレベルで基本テキスト入力が中心のアプリ。ただしスリープ状態のiPadにApple pencilで画面タッチすると即メモが起動して手書きメモ出来る点は素晴らしい。手書き認識も優秀なのでそのままメモのタイトルに入る。
しかしながらエリア固定で拡大縮小も出来ないのでやはりメモ専用に使うのが妥当だと思う。
番外:メモアプリ以外の検討:
バレットジャーナルのデジタル化検討に於いては、ホワイトボードアプリ、お絵描きアプリ、PDF編集アプリ、テキストエディタも対象にした。
ホワイトボードアプリ:
ホワイトボード(Microsoft)、フリーボード(Apple)、FigJam(Figma)などがある。自由度は素晴らしく共同作業の機能にも優れるが、逆にエリアにタイトルやテキストを固定する領域が無いので、バレットジャーナルには不向きと判断した。
お絵かきアプリ:
プロクリエイト(Procreate)、クリスタ、Photoshopなど多数存在する。お絵描き用だけあってペンのスペックは最高に素晴らしい。
Procreateは人気が高く、バレットジャーナルの様なノート作成用として使う人もいるが、ページ管理が手間になる(下記のPDF編集アプリとの組み合わせがお勧め)。クリスタEXは複数ページ機能を有しているのでバレットジャーナルには使えると思うが、ややマニアックだと思う。
なおプロクリエイトやPhotoShopは線がラスターで、クリスタやイラストレーター、Adobe Frescoなどはベクターもラスターも使える点に注意。
※プロクリエイトのヘルプサイト
PDF編集アプリ
PDFelementなど多数存在する。実は手書きノートとしても十分使えるし、台紙として使用するテンプレート(PDF)の内容までWordの様に自由に編集できてしまう点では手書きノートアプリを凌駕する。
ノートとして使用する際のページ追加は「他のPDFファイルの追加」で行う。手書きノートアプリに比較すると若干手間だが慣れると問題ない。また前記のお絵かきアプリで作成したページをブックとしてまとめる作業や手書き部を含めあらゆるオブジェクトの移動編集も行える。
PDFelementの価格は少々高いが(iPadで6,000円)、PDFを自由自在に編集できる(OCRでテキスト化も可能)点を考慮すると、選択の価値はあると思う。
テキストエディタ
テキストエディタでもバレットジャーナルはもちろん可能だ。例えば下記の様に記載できる。Markdown用エディタでも対応出来る様にキーは全て全角文字で入力する。
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ーメモはこのキーを使う
・タスクはこのポチマーク
/タスクを誰かに委託したらスラッシュに変更
× タスクを完了したらペケマークに変更
☑️ タスク完了はチェックマークを使ってもいい
>タスクを先延ばしにしたらこのマークに変更
<タスクを予定に戻したらこのマークに変更
!アイデアのマーク
⚪︎イベントはこのマーク
##私はイベントを1日の中の段落とみなしてMarkdown式に書いている
###さらにサブイベントの場合
ーーーーーー
iPhoneしか手元に無い場合、手書きは逆にストレスになるのでOneNoteなどでも上の様にテキスト入力で行う方が便利だ。ただし、バレットジャーナル用にテキストエディタを使う場合は以下のデメリットがある。
- 写真や絵が入らない
- 手書き不可
- テンプレート(台紙)が利用できない
- 標準的なファイル管理になるのでノートとしては扱いづらい
- 各ファイルへのリンクは貼れない
- デジタルから離れられない
但しNotionの様にテキストエディタでも上記課題を解決したサービスもある。
最後の「デジタルから離れられない」のは手書きアプリでも同じだろうと思われるかもしれないが、iPadで手書きしている感覚はほぼ紙に書くのと同じアナログ感覚だ。